ニャンズを預けての年に一度・秋の旅行。サイクリング日程の初日は伊那と木曽結ぶ「米街道」を辿りました。 元禄年間に神谷の馬方・古畑権兵衛が伊那から中山道の宿場へ米を運ぶ為拓いたとされる道で、最初に上った権兵衛峠に名前が残っています。現在は伊那及び塩尻市が管理する市道との事ですが、経ヶ岳林道として作られてから昭和の一時期は暫定の国道として使われた道だけあって、落石や落ち葉の堆積は多めなものの、概ねしっかりした道でした。二箇所だけ、注意を要する崩落がありましたが、歩く分には支障はありませんでした。 問題は二つ目の姥神峠。 羽淵側は極めてよく手入れされた径で、初秋の森を楽しみながら三十分ほどで峠に着くことが出来ましたが、わんさとある石仏に手を合わせてから下り始めた神谷側は大荒れの気配。灌木の分けて道跡を辿った先、神谷川の谷底に下る杉林は夥しい倒木によって、九十九折れる途中から道跡が跡形もなくなっており、何年か前に歩かれた方が書いて下さっているのネット情報にあるピンクテープも失われていました。 平場を頼りに、それでも微かな跡を辿って沢を渡ると、その先も倒木の嵐。足元に自然の石とは異なる感じの丸いものが転がっているので見ると、どうやらこれも石仏の様でした。GPSと地形図を突き合わせること再三再四、自転車を連れ進むのに不安を感じたので体一つで進路を探ると、幅50mほどの崩落で道跡は完全に寸断されている様でした。 崩落の先に道の続きらしい凹みが見えるので渡れるか試してみましたが、高巻きしてもズルズル滑ってしまう細かい礫なので、断念し自転車を置いた場所まで引き返しました。 小一時間倒木の森と格闘して、なんとか峠まで戻り、羽淵から姥神道路のトンネルを抜けて神谷へ。本当は権兵衛街道の三峠越えをもくろんでいたのですが、姥神峠で精神的な喫水を越えた感じだったので、神谷峠は諦めて藪原へは国道で行きました。 三つ目の峠は鳥居峠。こちらは旧中山道をトレッキングする人の為のしっかりした道が整備されているので、迷うことはなかったのですが、自転車を押し上げるのに意外と手古摺り秋の陽が傾く時間になってしまったので、余儀なく藪原を見晴らす場所でラーメンを拵え済ませました。昼食はぜひ、奈良井で…と考えていたのに…(>_<;) 駆け足で奈良井宿を見学した後は、奈良井川沿いに国道のバイパスへ。木曽山脈を潜る長大トンネルをひた走ると、往路に要した時間の六分の一ほどで伊那に戻ることが出来たのでした。 姥神峠ですが、羽淵集落からの上り口に「入山禁止」と掲げられていました。峠路は集落から南にカーブしながら上るので、最初は峠路ではなく山に真っ直ぐ上る野良道を指すのだろうと思っていたのですが、神谷側の惨状を目にしてから考えると、姥神峠そのものを指していたのだと思い至りました。 二条の崩落が無くても大量の倒木(伐木？)により、神谷側の路跡はほぼ、消えています。技量をお持ちの方であっても、峠路を辿るのは極めて困難だろうと思います。 距離と標高差の割にキツく感じたコースでしたが、よくよく考えれば、どの峠も中央分水嶺なんですよね…(^ ^;)